こんにちは、かりんとです。
今日のお題の映画は『散歩する侵略者』です。2017年9月に公開された映画。劇団イキウメの舞台演劇『散歩する侵略者』を映画化した作品です。
映画館で観ました。たしか9月の終わりの水曜日辺りに。朝イチの上映しかなかったけど、お客さんはそれなりに入ってましたね。でも、週末には上映終了になっていました。
監督は黒澤清。かなりクセのある作品を撮る監督だと思います。『CURE』と『リアル〜完全なる首長竜の日〜』を観たことがありますが、とにかくわかりづらいです。前者はホラー、後者はミステリー。どっちも奇妙な手触りの映画です。その奇妙さにハマれるかどうかがキモになります。
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主演は長澤まさみ、松田龍平、長谷川博己など。結構豪華です。そのワリに、興行的にはパッとしなかったようで。映画観客動員ランキングも初登場10位だったし。宣伝がヘタだったのでしょうか?
評価:☆☆(五段階評価中)
今まで観たことある黒沢清監督作品の中では、イチバン癖が弱い作品だと思います。わかりやすいです。宇宙人と名乗る人が出てきて、侵略をしていくという流れもスムーズでよかったです。物語が進むにつれて「あ、コレはヤバイかも。」と少しずつ思わせてくれる、しっかりとした演出がいいですね。
(C)2017「散歩する侵略者」製作委員会
劇団イキウメの舞台演劇を原作にしたからと言っても、キッチリと黒沢清風味を感じます。後半は特に。というか、後半からの黒沢清っぽさが今回の作品とうまくマッチしていなかったとオレは感じました。
あの明らかにハメ込み画像の乗車シーン、マシンガン乱射や戦闘機からのミサイル発射。ここらの表現に全くリアリティがないの。特にあのミサイルは何?大きい音と爆発はあるけど、着弾したところは全く壊れてなくキレイなまんま。CGでごまかすとか、着弾シーンは映さないようにするとか配慮しろよ。こんなんで黒沢清監督は「戦争映画を撮ってみたい。」と言っていたそうだけど、かなりどうかしていると思います。
(C)2017「散歩する侵略者」製作委員会
チープな侵略SFモノにしようとしながら、最後に愛について語るあたりもどうかと。愛を語ることについての前振りもあったのですが、チープなSF演出が気になってソレにのっていけなかったというか。SF演出は削って、会話劇で進めていったほうがもっと面白くなったと思うんだけどなぁ。
演者は良かったですね。長澤まさみのイライラ演技がよかったです。両手を振り回してポコポコ旦那を叩くところは超可愛かったです。長谷川博之はもっと評価されてもいいと思います。宇宙人役の若い男の子と女の子もよかったですね。特に女の子。名前誰だっけ?いい役者になると思います。
(C)2017「散歩する侵略者」製作委員会
松田龍平って、どんな役でも似たようなテンションですよね?今回はうまくハマっていましたが。満島ひかりの弟は何ですか?ニートとか引きこもりとか言っておいて、あの黒さは。何でしっかり焼けているんだよ?ここらの雑さが今回の映画はすんごく気になりました。
(C)2017「散歩する侵略者」製作委員会
この映画、とことんリアルなSFとして撮るか、アクションシーンは極力省いて会話劇を中心にした作品にするか、どっちかに振ったほうがよかったと思います。舞台という制限された空間での演出を、そのまま映画に持ってきてしまったような。映画ならではの見せ方がもっとあったんじゃないかなぁ?この映画をホメる人が多いけど、オレは役者以外でホメられる部分は少ないですね。まぁ、黒沢清監督が好きなら、観ておけば?