かりんとの日記

主に映画について、たまに戯言をダラリと書きます。

スリー・ビルボード

 こんにちは、かりんとです。

 今日のお題の映画は『スリー・ビルボード』です。2018年の2月に公開されて映画。米ミズーリ州の片田舎の町にて、娘を殺害された母親が警察を批判する看板を設置したことから、予期せぬ事件が起こるクライムサスペンス映画です。

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 映画館で観ました。この映画、実はそこまで興味がなかったのですが、女房が観に行きたいと言うので行くことに。サスペンス要素が気になったんだって。たしかにYahoo!映画の紹介ページにはクライムサスペンスと書いてあったけど、サスペンス要素は少なそうな気が。

 監督はマーティン・マクドナー。この人、誰?『セブン・サイコパス』の監督でもあるんだって。その映画は観たことないし。映画監督よりも、劇作家として有名みたい。演劇はほとんど観ないから、知る由もなく。

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 出演している役者さんも、よく知らない人ばかり。母親役のフランシス・マクドーマンドも見たことないなぁ。ウッディ・ハレルソンやサム・ロックウェルは見たことあるような。役者に華のない映画ですね。まぁ、そーいうところを求めてはいないのだろうけど。

 この映画、ベネチア国際映画祭やトロント国際映画祭で賞を獲ったり、ゴールデングローブ賞も四部門で受賞したり、アカデミー賞でノミネートされたりと、色々注目されているみたいで。でも、いっぱい賞を獲っているから面白い!というワケじゃないんだよね。アカデミー賞の作品賞だった『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』なんて、オレにとってはマイケル・キートンがブチ切れる様子をワンカットで延々と撮っただけの映画にしか見えなかったです(;´Д`)

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評価:☆☆☆☆☆(五段階評価中)

 あら、結構面白かったじゃないか。女房も良かったと言ってました。でも、もうちょっとクライムサスペンスの要素が欲しかったみたい。

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(C)2017 Twentieth Century Fox

 そうなんです、娘が何者かに強姦されて焼殺されたということが序盤に説明されるぐらいで、そこから先に凄惨な事件が起こったりするワケでもなく。だから、そんなにハラハラするようなサスペンス要素も薄いです。そこらに期待をすると、肩透かしを食らうでしょう。

 映画の雰囲気は『ノーカントリー』に似ていると思いました。コーマック・マッカーシー脚本の映画からクライムサスペンスの要素を大幅に削って、人間ドラマとコメディ要素を足したような感じ。

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 フランシス・マクドーマンドが演じる母親のミルドレッドがオモロイのですよ。事件を解決しない警察への抗議のために巨大な広告看板を設置する。ここらだけでも思い切ったことをするなぁ、と思いますよね?でも、そんなこと彼女には「どーってことねぇよ!」という感じで。彼女は終始、粗野で粗暴な言葉遣いと行動を取り続けます。女版クリント・イーストウッドです。

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(C)2017 Twentieth Century Fox

 ミルドレッドのDV旦那も登場しますが、DVというよりも野郎同士のケンカにしか見えません。というか、よくこんな可愛げのない女と結婚したよな。おっかなくて子作りできるような相手じゃないですよ。チ〇コ捥ぎ取られそう(;゚Д゚)

 ウッディ・ハレルソン演じる警察署長のウィロビーですが、ミルドレッドに対して言葉づかいも荒いため「やっぱり警察の怠慢なのかな?」と思ってしまいます。でも、実はちゃんと捜査をしておりまして。

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(C)2017 Twentieth Century Fox

 しかも、誠実な仕事ぶりと人情味あふれる性格で、署内だけでなく町中の人々から敬愛されています。でも、彼は自身の人生の最期に嫌いなヤツへのイヤガラセはキッチリとするあたり、イヤラシイというか(;´∀`)

 サム・ロックウェル演じる警察官のディクソンは、気に入らない相手なら平気で暴力を振るう凶悪警官。警察署長を侮辱する看板広告を出したミルドレッドに対して広告を取り下げるよう迫ります。警察署長への尊敬の念がそうさせているとはいえ、その度合いは異常に感じられるほど

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(C)2017 Twentieth Century Fox

 ヘッドフォンでABBAのチキチータを聴きながら恍惚に浸ったり、困ったことがあったら一緒に住む年老いた母を頼りにしたりと、凶悪警官らしからぬ側面もあったり。明らかにコイツはフツーじゃないと感じ取れます。その理由について、ボンヤリとわかりづらく示めされますが、それに気づいても彼には共感はできなかったです(´-ω-`)

 この三人には、共通点があります。それは魂の救済を求めていること。オレはそう、感じました。どうしてそう感じたかを書いていくとネタバレになるので書きませんが。三者三様、魂の救済を求めて足掻いたりもがいたりするんですよ。その様子が、しんみりさせられることもあれば、ニヤニヤさせられたりもするのです。ラストは「そっちへ行くのかい!」とツッコミを入れたくなる展開でした。魂の救済を求めているのなら、その行動もわからなくはないけどね。

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(C)2017 Twentieth Century Fox

 暴力警官だけでなく、警察署長も娘を殺された母親も、どのキャラにも共感は持てません。「アンタの気持ちはわからなくもないけどねー。」と言うぐらいしかできないんですよ。善人でもなければ根っからの悪人でもない、そんな人達を生暖かく見守るしかないのです。

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(C)2017 Twentieth Century Fox

 映画の雰囲気はカントリーノワール調ですが、アメリカのド田舎人情コメディ映画だと思ったほうがいいです。カントリーノワールが好きな人なら、その雰囲気からスンアリと入れて楽しめるでしょう。オレはこーいう雰囲気の映画、大好きです。オススメですよ!